IBDP(IBディプロマ、国際バカロレアディプロマ)取得者には、他記事でまとめているように、世界の優秀な大学への進学をスムーズにしたり、大学初年度の単位を取得出来たり、奨学金に手が届きやすくなるなど、将来的な利点が数多くあります。しかし、これらの輝かしいチャンスを手にするには、IBのいくつもの厳しい壁を越えなければなりません。フルディプロマ(大学入試資格)を取得する為に、IBDP受験者は下記の条件をクリアする必要があります。
IBの各教科(TOK、EEを除く6教科)の満点は7点です。すなわち、IBの
6教科総合の成績の満点は42点ということになります。6教科合計24点以上を取得とすると、各教科平均で4点を取れば良いという計算になります。最終試験にカウントされる評価はExternal(外部評価)とInternal Assessment (内部評価)に分れていますが、詳しくば別の記事で説明します。
IBを経験してきた私がはっきり言いますと、1教科を4点以上取るというのはとても難しい訳ではありません。勿論、どんな教科でも油断をすると4点以下になりますし、苦手な教科だと4点以上をキープすることは困難になってきます。しかし、真面目に勉強をして、IB受験の要点を押さえていれば、無理難題ではないということです。
IBDPを取得する為には、6教科の必修教科の他にTOKとEEで合格点を取らなければなりませんが、6教科と評価基準が異なり、TOKとEEはABCDE評価になります。
そして、最終成績は下の表が説明しているように、TOKとEEの各成績の組み合わせによって決められます。
例をあげると、
TOKでAを、EEでCをとった生徒のTOKとEEの最終成績は2点です。
ここが重要なのですが、TOKとEEの最終的な成績は、IBDPの6教科の合計点数、そしてIBDPの最終成績に最大で3点加算されます。一つ前の項目で、6教科の総合点数は42点であると説明しましたが、TOKとEEを入れた、最終的なIBDPの満点は45点であるということです。
そして、IBDP取得する条件の一つ目である「最終成績で合計24点以上」なのですが、もしTOKとEEでAAの組み合わせ、または片方がAでもう片方がBの成績だった場合、6教科の平均点数は3点以上であればいいということになります。
ただ、実体験から話すと、そんな人はいません。TOKとEEは難しいし評価もとても厳しいので、TOKとEEで好成績を修めた学生は6教科でも優秀な生徒がほとんどですし、6教科で優秀な生徒がTOKとEEで苦労する姿を何人も見ました。TOKとEEで獲得できる点数に関しては、まずは追加点として認識し、D以上の評価を取るように最低限努力しながら、主要6教科を固める事を優先した方がいいと思います。
IBDPを受験する上で、6つの主要教科の中から高度レベル(Higher level、以下HL)にする教科をいくつか選択する事がディプロマを取得する条件となっています。最低でも、6教科中HL教科を3教科選択しなければなりません。時折4教科をHLにする猛者がいますが、優秀な大学の特定の学科に入りたい、その学部が求める要項を満たさないとならない、という方はそのようにしても結構ですが、安易に4教科選ぶ事はお勧めしません。
この条件が言っていることは、その選択した3教科(HL教科)において、合計12点取らなければならないということです。平均にすると1教科4点。
HLはSL(Standard level:標準レベル)と比較し、はるかに学ぶ量も深さも桁違いです。進学する大学が特定の教科をHLにする事を求めているなどの理由でしたらやむを得ませんが、それ以外の場合は本当に自分が2年間高い成績をキープできる自信のある教科を選択し、合計点12点以上をキープしましょう。
HLの教科を3教科(または強者は4教科)選ぶと、自動的に残りの3教科はSLになります。最終成績の合計が9以上であるということは、1教科平均で3点以上取る必要があるということです。
HLは確かにSLよりもはるかに難易度も勉強量も大変ですが、だからと言ってSLが簡単と言う訳ではありません。SLでも高い成績をキープし続けることは難しいのです。教科を選択する際は、「興味のあるもの」「かっこいいもの」「大学進学に有利」と言う理由だけではなく、2年間続けて高い成績をキープできることも要素として考えてみましょう。
上記3項目は、油断をすればクリア出来ない可能性がありますが、ほとんどの場合、テストの対策や課題の提出を続け、ある程度の成績を保っていればクリアできる項目です。IBの試験に不安を覚えてここを読んでいる学生さんならば、基本的にここは心配しなくても大丈夫だと思われます。
この項目のみ、必修6教科とコア教科(TOK、EE)についてではなく、CAS(Creativity, Action and Service)と言うIBプログラム内での課外活動についての必要条件です。
CASの「必要条件」とここで書かれているものはとても曖昧ですが、ここで簡単に説明します。詳しくばCASについてのまとめの別ページをご参照ください。
2年間のIBDPで、DPの学生はCAS活動を「完了」しなければなりません。「完了」する為には、下記の条件を満たしている事が求められます。
参考文献: https://www.ibo.org/globalassets/publications/cas-guide-jp.pdf
これらの項目が、IB生が卒業までにクリアする必要条件です。
CASに関しては、CASアドバイザー、そしてCASコーディネーターと言う、定期的に生徒のCASの進捗(何個のアクティビティに参加したか、CASプロジェクトの進行度、学習成果)を監督し、生徒のCAS活動を支援する為のフィードバックや必要なリソースを提供する責任の役職が学校内にいます(CASアドバイザーは教員が務める事がほとんどです)。つまり、可能なボランティア活動を自分で全て探さないといけない、と言うことや、必ず自分でクラブ活動やボランティア活動を立ち上げ、全てのプロセス(準備、学校外の組織との連絡、目標設定など)をする必要はないと言うことです。ある程度は学校側の責任で、CAS活動を完了する為のサポートを提供してくれますし、生徒の進捗を見守ってくれるので、締め切りに間に合わない生徒はほとんどいません。
しかし、プログラムを立ち上げたり、また既存の課外活動に参加したり、自分が行った活動の振り返りを書くのは学生自信の責任です。学校側は学生側から求められたら動きますが、基本的には学生の自主性を促す為に学校側からサポートを積極的に提供することはありません。主要教科やコアの進捗、進行度とバランスを取りながら、2年間で上記の必要事項を効率的に満たすようにしましょう。